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グローバルサウスとは?

近年、国際政治や経済のニュースで「グローバルサウス」という言葉を耳にする機会が増えています。インド、インドネシア、ブラジル、南アフリカなど、主にアジア、アフリカ、中南米の新興国・開発途上国を指す言葉ですが、なぜ今、これらの国々が世界の注目を集めているのでしょうか。

グローバルサウスとは、地理的な南半球を意味するものではありません。インドやベトナムのように北半球に位置する国も含まれ、国際的に統一された定義があるわけでもありません。

世界経済の重心が変わりつつある

グローバルサウスが注目される最大の理由は、その経済的な存在感の拡大です。国連貿易開発会議(UNCTAD)が2025年12月に公表した『Trade and Development Report 2025』によれば、開発途上国は世界の生産と商品貿易のそれぞれ40%以上を占めています。かつて先進国から援助を受ける存在と考えられていた国々が、世界経済を動かす重要な主体となっているのです。

人口動態も大きな要因です。日本や欧州、中国などで少子高齢化が進む一方、インドやアフリカの多くの国々では若年人口の増加が続いています。教育や雇用、インフラ整備が進めば、これらの国々は将来の巨大な消費市場となる可能性を秘めています。

もう一つの背景が、国際政治の多極化です。2022年のロシアによるウクライナ侵攻に際し、欧米諸国が対ロシア制裁を進める一方、インドをはじめとする多くの新興国は、必ずしも欧米と歩調を合わせませんでした。

こうした国々は、米国か中国かという二者択一を避け、複数の大国と関係を維持しながら、自国の利益を追求しています。グローバルサウスは、もはや大国の政策に従うだけの存在ではなく、国際秩序の形成に影響を与える主体になりつつあります。

ただし、グローバルサウスを一つのまとまった勢力と考えるのは適切ではありません。経済発展の段階や政治体制、外交政策は国によって異なり、その多様性を理解する必要があります。

「援助」から「ともに未来をつくる」関係へ

グローバルサウスの台頭は、日本企業にも新たなビジネスチャンスをもたらしています。これまでの政府開発援助(ODA)や製品輸出に加え、現地の社会課題をビジネスによって解決する取り組みが広がっています。

例えば、インドネシアでは都市化に伴う廃棄物処理や水質汚染、ウズベキスタンでは農業用水の効率的な利用、アフリカの多くの地域では電力や医療へのアクセスが課題となっています。こうした分野では、日本が培ってきた環境技術や省エネルギー技術、医療・農業分野の知見を生かすことができます。

もっとも、技術や資金を提供するだけで問題が解決するわけではありません。所得水準や生活習慣、社会制度が異なる中で、現地の実情に合わない仕組みは長続きしません。地域の人々が主体的に関わり、自ら運営し、発展させていけることが大切です。

そもそも課題解決とは、経済成長だけを目指すものではありません。衛生環境を改善し、教育の機会を広げ、災害による被害を減らすなど、人々の暮らしを豊かにし、より良い未来をつくることです。それは先進国が一方的に与える「援助」ではなく、現地の人々と知恵を出し合い、ともにつくり上げていくものでなければ、社会に根づくことはないでしょう。

相互理解が未来をひらく

私の知る若い人たちの中にも、こうした国々が抱える課題の解決を志し、JICAなどを通じて現地に赴き、地域の人々とともに活動している人が数多くいます。異なる文化や生活環境の中に身を置き、現地の人々と向き合うその姿は、大変心強く感じられます。

国境を越えた協力を支えるのは、技術や資金だけではありません。互いの歴史や文化、価値観を理解し、信頼関係を築くことも欠かせません。政府間の協力や企業活動に加え、民間レベルでの交流を積み重ねることが、国と国との関係をより豊かなものにしていくはずです。

小方 俊也
合同会社カイザーコンサルティング 代表社員。プロフィール